(光免疫療法による肌の若返り)最新研究が明かす老化防止の可能性とは【カズレーザーと学ぶ】

2025年9月2日に放送予定の「カズレーザーと学ぶ。」
今回の内容は、がん治療で革命を起こした「光免疫療法」が紹介されます。
現在大注目の技術ですが、なんと肌の老化防止にも応用できる可能性があるとのこと。
今回は、その内容について詳しく解説します。
新しいアプローチで若さを保つ方法についての新しいアプローチを知りたい場合はぜひ最後まで読んでください。
※番組放送終了後、放送内容を加えてお届けします。
光免疫療法とは?

光免疫療法は「第5のがん治療法」として注目される革新的な技術です。
この技術を知らしめたのは、小林久隆先生!
光免疫療法は小林久隆先生がアメリカで開発し、2020年に日本で世界初承認されました。
その仕組みは驚くほどシンプル!というのも、わかりやすく言うと、
- がん細胞には必ず小さな突起があり、そこにくっつくのが得意な抗体があります。この抗体は、がん細胞を見つけると抱きつく。
- また、近赤外線に反応してエネルギーを発し、細胞膜を壊す性質がある「IR700」という特別な化学物質があります。
- この抗体とIR700を抱き合わせた薬を体内に注入すると、血液に乗って体中をめぐり、抗体とIR700がいっしょにがん細胞にくっつく。
- そこへ近赤外線の光を当てると、IR700が反応して、IR700と抗体とがん細胞が一緒に破壊され、がん細胞が消える。
この治療法の画期的な点は、従来のがん治療のように正常な細胞まで傷つけることなく、標的となる細胞だけを精密に攻撃できることです。
というのも、近赤外線はテレビのリモコンにも使われる光なのでそれ自体は無害ですが、薬と組み合わさることで強力な効果が発揮されます。
光免疫療法用の薬は、がん細胞の表面に多く出ている目印(抗原)にくっつくタンパク質(抗体)に、光に反応する物質をつけたものです。この薬を点滴投与すると徐々にがんに集まっていき、1日くらいでがん細胞に薬がたくさんくっつきます。そこにレーザー光を当てると薬が反応し、薬がたくさんくっついたがん細胞は破裂して死滅します。一方で、光免疫療法用の薬がほとんどくっつかない正常細胞は、レーザー光を当ててもダメージを受けません。また光免疫療法用の薬自体は細胞にダメージを与えませんし、使用するレーザー光も人体に害は及ぼさないので、抗がん剤のような治療部位以外での副作用はなく、患者にやさしいがん治療法といえます。
光免疫療法が肌の老化防止にどう活用できるのか?

番組では、この光免疫療法が肌の老化防止にも応用できる可能性が紹介される予定です。
実際にそのような効果を示す研究もあります。
それを理解するには、まずは肌の老化の仕組みから。
肌の老化には様々な要因がありますが、その一つに「ゾンビ細胞の増加」があります。
皮膚の内側(真皮)には「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」という、肌の元気を保つ大事な細胞がありますが、この細胞は年をとると、ただ元気を失うだけではなく、まわりに悪い物質を出すようになります。
それは「炎症を起こす物質」や「コラーゲン(肌のハリを作る成分)を壊す酵素」で、まわりの元気な細胞まで傷つけてしまうのです。
その結果、シワやたるみ、肌の弾力がなくなるといった老化現象が起こります。
こうした老化した細胞は「ゾンビ細胞」とも呼ばれ、死なずに残って悪影響を与え続けるのです。
そして、大阪大学の研究グループは、このゾンビ細胞だけを見分ける目印(マーカー)を探し、その目印にくっつく「抗体」に光に反応する物質をつけた特別な薬を作りました。
この実験では、その薬をゾンビ細胞に取り込ませてから近赤外線をあてると、ゾンビ細胞だけを消すことに成功しました。若い健康な細胞はほとんど影響を受けませんでした。
【研究の概要】
複数のがん細胞や正常細胞に放射線を照射し、遺伝子の働き方(発現パターン)がどう変化するかを調べました。
その結果、放射線を浴びたときに特に増える遺伝子をいくつか発見しました。
その発見した遺伝子の中から「細胞の表面に出てくるタイプ(マーカー)」を選び、実際に放射線照射後にそのマーカーが増えることを確認しました。
そして、そのマーカーに特異的にくっつく抗体を入手し、抗体に光に反応する物質を結合させて「光免疫療法用の特別な薬」にしました。
【実験結果】
放射線照射前のがん細胞では、この薬+近赤外線を当てても効果は弱かった。
しかし放射線照射後は、がん細胞にマーカーが増えるため、光免疫療法で細胞が効率的に死ぬことが確認されました。
また、健康な細胞はほとんど影響を受けませんでした。
ヒトのがん細胞を移植したマウスを使った実験でも同じ現象が確認されました。
放射線照射後の腫瘍では光免疫療法の効果が強まり、腫瘍縮小が観察されました。
もしゾンビ細胞がなくなると、コラーゲンを壊す働きが減り、炎症も落ち着きます。
すると、周りの元気な細胞がダメージを受けなくなり、肌が自分で修復する力が高まります。
そして、結果としてコラーゲンが増え、肌が若々しくなる可能性があるのです。
まとめ【光免疫療法による肌の若返りは可能なのか?】

光免疫療法は、がん治療で既に実績を上げている確かな技術です。
その同じ原理を応用して、肌の老化の原因となる老化細胞を除去できる可能性が研究されています。

レーザー治療やピーリングとは全く異なり、老化のメカニズムにストップをかけるおもしろい研究!
今後の研究の進展により、光免疫療法による若返り医療が実現する日が待ち遠しいですね。
光免疫療法の美容への応用について、今後の研究成果には要注目です。
別の記事でもゾンビ細胞を減らす方法を解説していますので、ぜひこちらもチェックしてください。
「若見えのための6つの習慣を解説」


