あなたの選択は本当に自分の意志?選択に潜む真実を科学で解明!【百聞はジッケンにしかず】

2025年6月7日に放送の「百聞はジッケンにしかず」
今回の内容は「選択に潜む不思議」を実験で楽しく解き明かすというものです。

実際に私たちは、朝起きて何を着るか、昼食に何を食べるか、そして人生を左右する大きな決断まで、生きる上ではさまざまな選択をしていますよね。
ですが、果たして私たちは本当に「自分の意志で」選んでいるのでしょうか?
今回の「百聞はジッケンにしかず」では、そんな選択に潜む「人間の不思議な本性」を科学実験で解き明かされていきます。
「自分の本能がわかる!」という有益な内容になりますので、ぜひ最後までご覧ください。
※番組の放送内容に私見を加えてお届けしています。
選択における人間の不思議な本性とは

選択にはどのような科学が潜んでいるのでしょうか?
ここでは、『行動経済学』という学問から「選択」をみていきます。
行動経済学とは実際の人間の行動をもとに理論を形成しており、心理学と経済学を合わせたハイブリッドな学問領域といわれています。行動経済学は消費者の動向を掴みやすいことからマーケティングの分野で注目を集めており、実用的な側面から様々なビジネスにも応用されています。この行動経済学で想定する人間像はこれまでの伝統的な経済学とはほどよく外れているのです。
①行動経済学の観点から考察
行動経済学の研究によると、人間の選択行動には興味深い特徴があります
というのも、従来の経済学では、「人間は常に合理的に判断する」と考えられてきましたが、実際はそうではないということがわかったからです。
それが、私たちの脳が持つ次の2つの思考モードです。
- 【システム1】ファスト思考(直感):速い・自動的・省エネだがミスが多い
- 【システム2】スロー思考(論理):遅い・意識的・エネルギーを消費するが精度が高い
この考えを提唱したのは、ダニエル・カールマンです。
脳は『できるだけ省エネしたい』という性質があるため、ファスト思考は日常生活の多くの場面で活用されています。一方のスロー思考は集中力と努力を必要とします。そのため、順序立てて物事を考え、情報を深く処理する際に使われます。
また、行動経済学では、「選択は環境にも左右される」としています。
というのも、例えば:
- 買い物で周りに誰もいないと安価な商品を選び、誰かがいると高価な商品を選びやすい
- 3つの選択肢があると「真ん中」が一番選ばれる(極端回避性)
など、これらの影響に私たちは気づかず、「自分で選んだ」と思い込んでいるのです。
②その他選択に影響を与える認知バイアス
また、私たちが選択を行う際に影響を与える認知バイアスとして、ほかには次のようなものがあります。
同調バイアス
同調回避バイアスは、 「人と同じは嫌」という心理です。
例えば、レストランでAとBを迷った末にAを選ぼうと決めた瞬間、友人が「私Aにする」と言うと、あえてBを選び直してしまうような現象です。
プライミング効果
プライミング効果は、先入観やイメージが実際の判断より優先される現象です。
有名な例では、コカ・コーラとペプシの ブラインドテストで、味だけなら五分五分でも、ブランドイメージによって選択が変わってしまうということが実際に実験で明らかにされています。
確証バイアス
確証バイアスは、自分の選択を正当化する情報ばかり集めてしまう傾向です。
株式投資で、保有株が上がる材料には敏感でも、下落リスクには目をつぶってしまうのなどがその例です。
あなたはなぜそれを選ぶのか?

それでは番組で実験する個別の事例を見ていきましょう。
①魅力的な異性をどのようにして選ぶのか?
番組では、「魅力的だと思う異性のタイプ」をどのように選ぶのかについて、非常におもしろい実験が行われました。
実験では、左と右の顔写真のペアを5組用意し、どちらが魅力的かを判定してもらいました。事前に200人に評価してもらい、統計的に左と右を選ぶ確率が同じになるように組み合わせを調整。その後、20代の12人に実際に評価してもらいました。
ここでポイントとなるのは、実験者側が「表示する時間を微妙に変える」という操作を行ったことです。
具体的には、表示時間にわずか0.6秒の違いをつくりました。すると、
この現象には、人間の認知特性が関係しています。その特性とは、「好きなものを長く見たくなる」 という本能であり、今回の実験ではそれを逆手に取り、逆に「長く見ると好きになる」 という心理メカニズムを活用したものです。
これには、MCのホラン千秋さんからも、

なぜこのようなことが起こるの?
との質問がありましたが、これは、「愛着形成のメカニズム」という生物学的な理由とのことです。
つまり、配偶者や子どもを見ることで愛着を持つという、生物学的に説明がつく現象であり、特に人間の顔に対して強く現れる特徴になります。
ゲーズ・カスケード現象
さらに興味深いのは、目を動かすことで脳に「長く見た」という信号を送るメカニズムです。
「左が良い」と思うと、無意識のうちに眼球を左に向ける時間が長くなります。この現象は「ゲーズ・カスケード現象」と呼ばれ、実は先生からも、

本人が選ぶ前にどちらが好きかを予測することができます。
とのことでした。
後付けの理由づけ
また、実験で最も驚かされるのは、選ばされたにも関わらず、参加者が選んだ理由をすらすらと答えたことです。
さらに驚くべき実験結果もあります。
マジシャンに協力してもらい、選んでいない方の顔を「選んだ顔」として理由を述べさせると、8割の人がべらべらと理由を述べたのです。
これは人間の「後付け再構成」という認知特性を示しています。つまり:
- 直感は理由がなくても選択できる
- 後で必要になったらその場で理由を再構成する
ということであり、私たちは「全部自分で意識的に物事を考えて、具体的な理由があるから選択をしている」と思い込んでいますが、実際はそうではないということなのです。
②買い物をするときは選択肢が多いほうが良いのか?
この疑問について、番組では心理学者シーナ・アイエンガーの有名な「ジャムの実験」を再現する可能性があります。
シーナ・アイエンガーの「ジャムの実験」
ジャムの実験とは スーパーマーケットで、6種類のジャムと24種類のジャムを並べて試食販売を行った実験です。結果は次のとおりでした。
- 24種類のジャム:多くの人が立ち止まって興味を示すが、実際の購入率は低い
- 6種類のジャム:購入率が24種類の6倍も高い
このように 選択肢が多すぎると、かえって決断できなくなってしまう現象を「選択のパラドックス」と呼びます。
これが起こる理由は次のとおりです。
- 選択肢が増えると選択が難しくなる
- 脳のワーキングメモリーをたくさん使わなければならない
- 結果として選択すること自体が負担になる
そのため、買い物をするときは、実は選択肢は少ない方が良いと言えるのです。
百聞はジッケンにしかずの「レトルトカレーの実験」
番組では、「選択肢の多さが購買行動にどう影響するか」について、スーパーでのレトルトカレーの購買実験が行われました。
レトルトカレーを「6種類用意する日」と「24種類用意する日」の2パターンで、好きなだけ試食でき、試食した人を対象に実際に買って帰った購入率で比較する。
そして、その結果は次のとおりでした。
【6種類のケース】
- 対象者:40人
- 購入者:17人
- 購入率:42.5%
- 滞在時間:最も長くても6分程度
【24種類のケース】
- 対象者:57人
- 購入者:30人
- 購入率:52.6%
- 滞在時間:長い人で19分以上
この結果は、「ジャムの実験」とは正反対の結果となりました。このことについて、専門家の先生からは、

ジャムの実験と結果が異なる要因はいろんなことが考えられるが、大きくは、日本人特有の「たくさん試食したのに何も買わないのは申し訳ない」という心理が働いた可能性が高いです。
とのことでした。
まとめ【

「百聞はジッケンにしかず」の今回の企画では、私たちが当たり前だと思っている「選択」について、科学の視点から理解することができました。
- 人間の選択は無意識の要因に大きく左右される
- 「自分で選んだ」という感覚は重要だが、実際は操作されている可能性がある
- 環境要因(時間、表示方法、状況)が選択に決定的な影響を与える
- 選択の理由は後から作り出されることが多い
- 直感と論理的思考の使い分けが重要
- 生物学的・心理学的メカニズムが選択を支配している
- 「選択の自由」は思っているほど自由ではない
- 「自分で選んだ」という感覚も、実は錯覚かもしれない
生きるということは「選択」の連続です。
そのため、これらの実験結果を知り、より良い選択ができるようになると、人生自体を変えることができるかもしれません。
先生が言われていたとおり、自分で選んだという感覚が重要で、それが満足感につながりますので、直感と熟考の特性を知り、使い分けるようにしましょう。
そして、今回の内容をこれからの選択に活用し、より良い人生づくりに活かしてください。



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